会社では一定の成果を挙げていて、上司からも評価をされているのに、給与が低いような気がする。
会社の売上がなかなか伸びないから、これからも昇給は望めないかなぁ。
今まで以上に仕事で成果あげて収入アップを狙うのはもちろん大事ですが、時には視野を広げてみるのも大事です。
会社の中という狭い枠で見ると、人事評価基準と個人の成果により報酬(年収)が決まります。
ですが、会社の枠を超えてみると、業界と職種により、おおよその年収が決まってきます。
そのため、会社内で経験を積み、成果を上げることで徐々に年収を上げるより、別業界へ転職することで大きく年収が上がることもあります。
市場の需要が高い業界(つまり儲かっていて、これから伸びる業界)にいたほうが、収入面でもスキルアップ面でも将来的にお得です。
そのため、どの業界に属しているかは重要なポイントです。
そこで、転職するのにオススメの業界と、業界の選び方について、説明します。
最初に結論
いきなり身も蓋もないことを言いますが、
市場の需要が高い業界(つまり儲かっていて、これから伸びる業界)をオススメ業界として紹介しますが、興味を持てない業界に入っても、つまらない仕事に就くだけなので、オススメ業界はあくまでも参考程度に。
それより、どのような業界があるのか、どの業界が儲かっているのかを調べた上で、業界への興味と収入を天秤にかけて、転職先の業界の候補を選び出す。
これを行うことのほうが大事です。
将来性のある業界の探し方
時代は変わっていくので、「未来永劫この業界が伸び続ける!」というのは難しいですが、それでも今後何年かは伸び続けるだろうという業界の予想はできます。
本当だったら、業界ごとに上場企業の財務状況や動向を調べたり、日頃から経済ニュースを読んで知識を蓄えて、良い業界を探すところですが、これらを全てやってくれているサイトや書籍があります。これを活用しましょう。
業界情報の収集
【情報収集】業界動向サーチを活用する
このサイトでは、業界毎の動向や今後の見通しなどが載っています。
それ以外にも様々な情報が載っていますが、業界ごとの平均年収も載っているので、転職先の選びの参考にちょうどよいです。
特に次の情報に注目してください。
成長業界 | 成長が続いている業界がピックアップされています。(特に注目。転職先業界の候補として) |
業界天気図 | 業界ごとに、好調なのか低迷なのかを "天気" で表現されています。 全業界を見渡せるので、好調な(相対的に儲かっている)業界がひと目でわかります。 |
業界毎の動向 | 業界ごとに動向や現状、課題や今後の見通しなどの情報がまとめられています。 |
業界毎の平均年収 | 業界ごとに上場企業の平均年収が載っています。 (未上場は含まれていないため、業界内の実態より高めになります) |
【情報収集】日経業界地図から情報を得る
日経業界地図では、業界毎の動向や今後の見通しなどが載っています。
また、2030年に生まれる新業界、新職種についての情報も載せられています。
業界内の勢力関係や企業間の連携、企業の相関図など、「業界動向サーチ」には無い情報も多く載っていますので、深く業界の動向を知りたい場合は、購入してみてください。
「有名なこの企業が、こんな業界にも参入していたのか」と意外な発見もあり面白いです。
【情報収集】「2022年転職市場の展望」も参考にする
転職市場動向レポート『2022年転職市場の展望』
追加情報として、株式会社リクルートが発表している「2022年転職市場の展望」も参考にしてください。
15の業界について、転職市場の解説をしています。企業向けの内容ですが、求められている人材がわかるので、とても参考になる内容になっています。
業界の調査の例
まずは、業界全体を広く浅く調べてください。
これからも伸びる業界が大体わかったところで、興味を持てる業界をピックアップし、業界の現状と今後を調べ、把握します。
言葉にするとこれだけなのですが、ピンと来ないかもしれないので、適当に業界をピックアップし、調べてみました。
「これらのサイトや書籍を参考にすれば、ここまでわかるのか」という視点で参考にしてください。
※転職でのオススメ業界というわけではありません。
【調査結果】製紙・パルプ業界の例
業界をとりまく情勢
- 一気にテレワークが進み、出社しなくなったので、印刷用紙を使わなくなった
- 政府がデジタル庁を発足し、ますますデジタル化が進むことで紙は使わなくなるだろう
- 業界全体で見ても、すでに印刷用紙などの生産量は減少している。今後もこの減少は続くだろう
- 業界内で生産設備の縮小が始まっている
活路:一部の企業の取り組み
厳しい環境の中でも、したたかに変革している企業もある。
(以下、それぞれ別企業での取り組み)
- 紙の需要が減ることを見越して、ティッシュやトイレットペーパーなどの家庭紙に力を注ぎ、増収増益を果たした
- 家庭紙を増産し、アジアや中東、南アメリカへ展開
- 脱プラスティックに向けた取り組みとして、プラスティックの代替製品の開発を進めている(紙のストロー、紙容器など)
課題
縮小市場に残り続けても少ないシェアの奪い合いになるだけなので、別に市場での需要を見つけ出す必要がある。
(縮小する市場の中で、変革できる企業だけが、生き残り、延び続けることになる)
調査結果
業界自体は厳しい環境に置かれている。
製紙業界に思い入れがあり転職先とする場合は、業界内で発展する企業を調べて、冷静に見極める必要がある。
【調査結果】半導体業界の例
業界をとりまく情勢
- EV(電動自動車)を筆頭に、電化製品の普及で半導体の需要が急上昇。
- コロナ以降、需要と供給のバランスが崩れ、世界的な半導体不足となり、自動車を製造できないなど、製造産業に大きな影響を与えている。
- 急激な需要増のため、世界の半導体の市場規模で見ると、2021年は前年比26%増となった。2023年は、21年比で22%増と大幅増が続く見通し。
- あらゆる電化製品の基盤となる半導体は、現代では欠かせないもの。
経済安全保障の観点もあり、政府は半導体を国家戦略技術分野として位置付けた。
課題と対応
- 半導体のエンジニア不足が深刻に。人材確保が急務。
- エンジニアの人材不足を補うため、業界未経験の第二新卒も採用対象としたり、ブランクのある技術者の採用も行っている。
- 製造・開発ではミドル・シニア層の採用も多い。
調査結果
人材不足のため、教育前提での採用を行っている企業も多いらしい。
未経験の第二新卒でも、あるいは技術が低くても採用される可能性あり。
今のうちに技術を身につける転職に踏み切る考え方も。
ただし、今の急激な成長は2023年までと踏まえた上で考えたほうが良いだろう。
オススメ業界
伸びる業界の傾向
全業界を見渡してみても、やはりIT系が強いです
IT業界が伸びるのは言うまでもないことですが、既存の業界でもITを駆使した派生の業界が注目されています。
また、異業界との連携で生まれた産業も要チェックです。
例えば
- メガバンクや地方銀行ではなく、ネット銀行
- 従来の証券会社ではなく、ネット証券
- これまでの自動車ではなく、自動車のIOT化や 自動運転産業
- 住宅業界とIT業界がコラボした、IOT住宅(スマートハウス)産業
時代の波を受けて、介護関連の業界が伸びています
2025年には「団塊の世代」すべてが75歳以上となり、後期高齢者人口は2,180万人に達する見込みです。
大きく政策が変わらない限り、少子高齢化は加速するでしょう。
もはや介護関連の業界が伸びるのは必然です。
このIT系と介護系をかけ合わせた介護、医療ロボット産業は、今は市場規模が低いですが、今後は市場規模が拡大する未来しか想像できません。
オススメ業界
市場の需要が高い業界(つまり儲かっていて、これから伸びる業界)を紹介します。
- IT系
- AI(人工知能)
- SaaS(インターネット上のサービス)
- EC(通販、ネットショップ)
- IOT(モノとネットをつなぐ技術)
- エンタメ
- ゲーム(家庭向けゲーム)
- ゲーム(スマホ向けコンテンツ)
- ペット
- ペット用品
- ペットフード、ペット用保険
- 介護
- 介護用品
- 介護、医療ロボット
- 介護保険
最後に
業界全体を見渡して、これから伸びる業界がなんとなく わかったと思います。
また、自分が働いている業界が今後伸びるのか、横ばいなのか、低迷するのかも見えてきたのではないでしょうか。
会社を漁船に見立てると、あなたが乗っている船は魚の少ない漁場にいませんか?
あなたが乗っている船は、常に魚の多い漁場を探して、舵をとってくれていますか?
魚の多い漁場にいて、多くの魚が取れているのでしたら良いのです。
ですが、魚の少ない漁場で頑張って魚をとっている。そして他の漁場には魚が多いことを知らなかったとしたら、不幸なことです。
(自分が不幸なことに気づかないので、それはそれで幸せかもしれませんが)
今回で、魚の多い漁場がどこにあるのか、自分がいる漁場は魚が取れるのか、などわかったと思います。
船を乗り換えた方が良いのか、このまま残った方が良いのか、参考になれば幸いです。
次のステップへ
これで業界の調べ方はわかったと思います。
それでも別業界へ転職するのに不安が残る人は、キャリア、転職の考え方について次の記事にまとめました。
参考にしてください。
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転職活動へ
業界の調べ方がわかったら、次は転職活動です。
転職活動をサポートしてくれる転職エージェントを利用するのがおすすめですが、転職エージェントも営利企業です。エージェントの仕組みと接し方を理解しておかないと、イマイチな企業を気づかぬままに紹介されてしまうかも知れません。
そこで次回の記事では、転職エージェントに登録する前に、エージェントを利用する上での心構えと注意事項を解説します。
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参考文献
【Web】
株式会社デジタル&ワークス 「業界動向サーチ」 https://gyokai-search.com/ (参照 2022/8/15)
株式会社リクルート 「転職市場動向レポート『2022年転職市場の展望』発表 中途採用・転職活動の最新状況を解説 全15業界」 https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2021/1222_9799.html (参照 2022/8/15)
【書籍】
日本経済新聞社 「日経業界地図 2022年版」 日本経済新聞出版 2021年